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京都地方裁判所 昭和32年(ワ)1019号 判決

原告

右代表者法務大臣

唐沢俊樹

右指定代理人

去来川重二

大久保敏雄

原矢八

中川利郎

京都市中京区聚楽廻西町一九五番地

被告

家庭生活企業組合

右代表者代表理事

山本正夫

右訴訟代理人弁護士

小林為太郎

右当事者間の昭和三十二年(ワ)第一〇一九号差押債権支払履行請求事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告は原告に対し金四万九千七百三円及びこれに対する昭和三十二年十月六日から右完済に至るまで

年五分の割合による金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

この判決は仮に執行することができる。

事実

原告指定代理人は主文第一、二項同旨の判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、原告国は訴外佐竹末吉に対し昭和三十年十一月四日現在においてすでに納期の経過した昭和二十六年度所得税及びこれに対する加算税、利子税、延滞加算税、滞納処分費の合計金五万七千百三円の国税債権を有し他方被告組合は右訴外人を事務員として継続雇傭し俸給として昭和三十年十一月以降は毎月金一万四千八百円を支払うべき債務を負担している。そこで所轄中京税務署長は右佐竹に対する滞納処分として昭和三十年十一月四日同人が被告組合から支払を受くべき同年十一月分以降昭和三十二年四月分までの毎月の俸給債権の内昭和三十年十一月分から昭和三十二年三月分までについては毎月金三千二百五十円宛(当時右佐竹の俸給月額を金一万三千円と誤記したためこれを基準としてその四分の一に相当する金額)、昭和三十二年四月分については金千八百五十三円につき差押をなし昭和三十年十一月五日その旨を組合被告に通知し併せて毎月の俸給支払日又は毎月末日限り右差押金額を原告に支払うよう請求した。

しかるに被告組合は昭和三十一年八月三十一日及び同年十月十九日各金三千七百円合計金七千四百円の支払をしたのみでその余の支払をしない。よつて右金額を昭和三十年十一月分、十二月分及び昭和三十一年一月分の内金九百円の支払に充当し前示差押債権中残余の未払額合計金四万九千七百三円及びこれに対する本件支払命令送達の翌日である昭和三十二年十月六日以降(原告提出の準備書面に支払命令送達の翌日を昭和三十二年十月三日と記載せるは誤記であること被告に対する本件支払命令送達報告書により明白である)右完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めるため本訴に及んだ旨陳述し、

立証として甲第一乃至第三号証を提出した。

被告は本件最初の口頭弁論期日に出頭しないから被告訴訟代理人提出の答弁書記載の事項を陳述したものとみなす、右答弁書によると原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め答弁として原告が訴外佐竹末吉に対し国税債権を有する事実は不知、被告組合が右訴外人を雇傭し原告主張の俸給債務を負担している事実は争う中京税務署長が右訴外人に対する租税滞納処分として原告主張のような債権差押をなしその旨被告組合に通知し差押債権の支払を請求して来た事実は認める旨の記載がある。

立証として、被告訴訟代理人は被告組合代表者山本正夫の尋問を求め甲号各証の成立を認めた。

理由

原告が訴外佐竹末吉に対し原告主張のような国税債権を有する事実は成立に争のない甲第一号証により又右訴外人が被告組合の業務に従事し昭和三十年十一月以降毎月少くとも金一万三千円以上の俸給の支払を受くべき債権を有する事実は成立に争のない甲第三号証及び被告組合代表者山本正夫の供述によつてこれを認めることができ原告国の機関である京都市中京税務署長が原告主張の日時右訴外人に対する右国税滞納処分として同訴外人の被告組合に対する右俸給債権につき原告主張の金額の差押をなしその旨被告組合に通知し差押額を毎月の俸給支払日又は毎月末日限り支払うよう請求した事実並びに被告組合が二回に合計金七千四百円を支払つた事実は当事者間に争がない、そうすると被告組合は原告に対し、右差押債権中原告主張の未払額四万九千七百三円及びこれに対する本件支払命令送達の翌日である昭和三十二年十月六日以降完済に至るまで年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務があること明白であるから原告の本訴請求を正当として認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 岡垣久晃)

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